全国に43カ所ある競輪場。
普段はなかなか勝てない選手でも、得意な競輪場によっては下剋上を決めて、万車券を演出することも少なくありません。
そのため、競輪場内で選手が走行する「バンク」の特徴を把握しておくと、レース展開をスムーズに予想することができますね。
今回は、競輪の「3・3バンク、400バンク、500バンク」の特徴についてご紹介します。
そもそもバンクとは?
バンクとは、競輪場で競輪選手がレースを行うコンクリートやアスファルトで舗装された競走路のこと。
バンクは1周300m~500mの円になっており、カーブでもスピードを落とさずに走れるように「カント」と呼ばれる傾斜がつけられています。
1周の長さやコースの傾きなどは競輪場ごとに異なっていることから選手ごとに得意苦手があります。そのため、バンクの特徴をきちんと把握しておくとバンクも予想材料になりますよ。
競輪のバンクは全3種類!
競輪のバンクは、1周の長さの違いによって「3・3バンク」「400バンク」「500バンク」の3つに分けることができます。
具体的なバンクの種類と、簡単な特徴をまとめました。
- 3・3バンク:一周333m。周回数は6周で、みなし距離が短い
- 400バンク:一周400m。周回数は5周で、みなし距離は平均的な長さ
- 500バンク:一周500m。周回数は4周で、みなし距離が長い
また、距離、周回数、周長を一覧にまとめました。
周長 | 周回数 | 距離 | |
7車立て | 333m | 5周 | 約1,700m |
335m | 5周 | 約1,700m | |
400m | 4周 | 約1,600m | |
500m | 3周 | 約1,500m | |
9車立て | 333m | 6周 | 約2,000m |
335m | 6周 | 約2,000m | |
400m | 5周 | 約2,000m | |
500m | 4周 | 約2,000m |
上の表を見ると、9車立てより、7車立てのほうが競走距離が短いですね。
走る距離が少ないため、出場選手たちはレースの最後まで体力を温存したまま走ることが可能になります。
よって、レース終盤まで目が離せない展開が起こりやすいですよ。
3・3バンクとは?
1周の距離が333mのバンクのことを3・3バンクと呼びます。
3・3バンク、400バンク、500バンクの3種類のなかで、一番距離が短いバンクです。
3・3バンクは直線の距離が短いことが多いので、レース終盤に「差し」に行った選手が追いつく前にゴールラインに達してしまうことが多いことが特徴。
よって、長時間スピードを維持できる「先行選手」が有利だといわれています。
主な競輪場は?
3・3バンクの競輪場は、全国に7カ所あります。
- 防府競輪場:直線はやや短めだがクセの少ないバンク
- 松戸競輪場:直線が有数の短さで、逃げ有利なレースになりやすい
- 小田原競輪場:全国でも屈指のカントのきつい走路
- 伊東温泉競輪場:直線が長いので400バンクの感覚に近いバンク
- 奈良競輪場:バンクは小さくて丸く最大カント約33度と大きい
- 富山競輪場:先行有利の小廻りバンク
- 前橋競輪場(335m):日本最初のドームバンク。日本一カントが急
400バンクとは?
日本にある競輪場でもっとも多いのが、400バンクです。
1周400mのバンクで中間の距離でもあるので、スタンダードの距離と言えますね。
スタンダードな400バンクは先行、まくり、差し、マークなど、どの決まり手でも決まりやすいとされ、新人からベテランまでどの選手でも勝つ可能性があります。
よって、最後までレース展開を見逃すことができません。
主な競輪場は?
全国43カ所存在する競輪場ですが、400バンクを持つ競輪場は31カ所。
3種類のバンクのなかでは、最も多いですね。バンクの特徴とともに、競輪場をご紹介します。
- 函館競輪場:標準的なバンクで、海風の影響を受けやすい
- 青森競輪場:カントがややきつく、直線も比較的長い
- いわき平競輪場:日本で唯一構造物上に設置された空中バンク
- 弥彦競輪場:4コーナーの緩和曲線がきつく取られている
- 取手競輪場:クセのない走りやすいバンク、逆にカントはややきつい
- 西武園競輪場:400mバンクの中では比較的カントが浅く、直線が短い
- 京王閣競輪場:標準的な直線の長さ、カントは若干緩い
- 立川競輪場:直線が長く、追い込みが有利
- 川崎競輪場:一般的な400mバンク
- 平塚競輪場:直線の長さもカントも標準的でクセのない走路
- 静岡競輪場:走路自体にクセがなく、オーソドックスなバンク
- 名古屋競輪場:クセが少なく、どんな戦法でも力を発揮出来るバンク
- 岐阜競輪場:400バンクとしては直線が長く、カントがきつい
- 大垣競輪場:年間通して伊吹おろしが吹くので風の影響を受けやすい
- 豊橋競輪場:冬から春はバックストレッチで向かい風となることが多い
- 松阪競輪場:クセのないマッコーネル緩和曲線。カントはきつい
- 四日市競輪場:直線が長く、海に近いので風の影響を受けやすい
- 福井競輪場:クセが少なく、逃げ・差し・まくりが均等に決まるバンク
- 向日町競輪場:マッコーネル曲線を使ったスタンダードなバンク
- 和歌山競輪場:1999年にマッコーネル曲線のバンクに全面改修
- 岸和田競輪場:直線は比較的長いが、クセの少ないバンク
- 玉野競輪場:円に近い形状で、クセの少ない軽くて走りやすいバンク
- 広島競輪場:直線では中バンクよりも外が伸びる傾向
- 高松競輪場:カントがきつく、コーナーで登る感じが強い
- 小松島競輪場:カントはやや緩く、海風に対する注意が必要なバンク
- 松山競輪場:高速バンクで、自力選手には有利
- 小倉競輪場:1周400mの屋根付き自転車走路では世界最大級
- 久留米競輪場:クセのない、平均的な400mバンク
- 武雄競輪場:直線が60m以上で、九州管内の400mバンクでは最長
- 佐世保競輪場:直線が短い為、先行選手が若干有利
- 別府競輪場:直線はやや長く、季節を問わず風が吹くので追い込みが有利
500バンクとは?
500バンクは3種類の中で1番長いバンクで、最後の直線も長いです。
直線が長いことから、先行の選手が空気抵抗を受けて逃げ続けることが難しいです。
また、レース終盤には選手に疲れが見え始めるので、後ろから追い上げて差し込む選手が勝ちやすいと言えますね。
主な競輪場は?
500バンクの競輪場は、最も少ない3カ所。
- 高知競輪場:直線は500のバンクのなかで最も短く、カント(傾斜)も緩いため、先行選手が有利なバンク
- 大宮競輪場:先行選手は、総じて不利とされている競輪場
- 宇都宮競輪場:直線部がやや長く、カーブのきつい扁平なバンク
以前は大津びわこ、千葉、熊本にも500バンクはありましたが、立て続けに廃止・休止になったため、今は全国に3競輪場にしかありません。
バンクで出やすい「決まり手」は?
各バンクには、出やすい「決まり手」が存在します。
決まり手とは、レースの1着と2着に入った選手が、どのような戦法でその着順を獲得したのかを表した言葉。
ここでは、各バンクごとに出やすい決まり手をご紹介します。
3・3バンク:「逃げ」「まくり」
3・3バンクでは、「逃げ」「まくり」が決まりやすくなっています。
競輪における「逃げ」とは、残り1周の時点で先頭にいるラインの先行選手が、後ろの選手に抜かされずに、そのまま1着や2着を獲得したときの決まり手。
これは、みなし直線が短いので番手選手の差しが届かないことが多く、先行選手が逃げやすいからです。
2019年10月5日に松戸競輪場で行われたG3「滝澤正光杯in松戸」のレース結果を見てみましょう。
1着を見ると、第12レース以外は「逃げ」か「まくり」が決まっています。
よって、3・3バンクでは、「逃げ」「まくり」を決めやすい先行選手が1着に入りやすいと予想ができますね。
400バンク:どの決まり手も出やすい
400バンクでは、どの決まり手も出やすい特徴があります。
400バンクは、平均的なバンクの長さなので、全国平均と同じような決まり手の出やすさになります。
2019年11月30日に川崎競輪場で行われたF1「miyata E-BIKE」のレース結果を見てみると
各レースの1着は
- 逃:2回
- まくり:3回
- 差し:6回
とどの決まり手も出ていることが分かります。400バンクのレースでは、「どの決まり手が決まりやすいか」ではなく、「どの選手が強いか」を重視すると予想がしやすいですよ。
500バンク:「差し」
500バンクでは、「差し」が決まりやすくなっています。
これは、みなし直線の距離が長いので先行選手が息切れしてしまい、番手選手がラストスパートで追い抜きやすいからです。
2019年11月20日に大宮競輪場で行われたF1「KEIRIN フェスティバル」のレース結果を見てみましょう。
1着の欄を見ると、「差し」が8回も決まっていることが分かります。
よって、500バンクでは後ろから差し込んで来ることが得意な「追い込みタイプ」の選手に注目して予想をしましょう。
各バンクの予想のポイントは?
競輪のバンクはバンクの特徴によって、先行タイプか、あとから差し込みに行くかの有利不利が変わってきます。
また、たとえ距離が同じバンクであっても、直線が長い場合やコーナーが長い場合など、競輪場によってコースの特徴が異なってきます。
たとえば、500バンクの高知競輪場と大宮競輪場のみなし直線距離を比べてみましょう。
- 高知競輪場:52.0m
- 大宮競輪場:66.7m
みなし直線距離に10m以上の差がありますね。
よって、競輪で車券を購入する場合は予想を行う競輪場のバンクの距離や特徴、出走する選手の得意な戦法を把握しておくと、より当たりやすくなるでしょう。
3・3バンクの予想のポイントは?
3・3バンクで行われるレースの予想ポイントをご紹介します。
- 自力選手を1着に入れる
- 1着が逃げ→2着はマーク
- 後ろのラインでも強い選手がいたら車券に絡める
3・3バンクは直線の距離が短いことが多いので、後ろから「差し」に行った選手が前を走る選手へ追いつく前に、ゴールラインに達してしまうことも多いです。
よって、3・3バンクでは、先行選手を中心に予想するのが良いでしょう。
400バンクの予想のポイントは?
400バンクで行われるレースの予想ポイントをご紹介します。
400バンクでの予想で重要視したいのが、選手の勝率や得意戦法について。
- 選手の強さを重視する
- ラインの強さを重視する
- 選手の得意戦法を重視する
- 各バンクの特徴も把握しておく
400バンクでは、先行選手にも番手選手にもチャンスがあると思って予想しましょう。
そのため、選手の強さが勝敗を左右します。
選手の強さは、出走表に記載されている競走得点から確認することができますよ。
競走得点とは、簡単に言うと選手の直近4カ月の成績を数値化したもの。
つまり、競走得点の数値が高いほど強いと言えるので、選手の強さは競走得点から判断できると考えて良いでしょう。
500バンクの予想のポイントは?
500バンクで行われるレースの予想ポイントは、「差し」が得意な選手を車券に絡めること。
「500バンクの特徴」でお伝えしましたが、500バンクでは決まり手「差し」が得意な選手は有利になりやすいです。
また、500バンクは競走距離が長いため、レース終盤まで体力を温存できる選手が有利になります。
よって、500バンクでは、番手や三番手選手(追い込みタイプ)を中心に予想するのが良いでしょう。
まとめ:バンクの特徴を掴んでレースを予想しよう!
今回は、競輪専用のレースコース「バンク」についてご紹介しました。
〜「バンク」まとめ〜
- 3・3バンク:1周の距離が333m。最も距離が短く先行選手が有利
- 400バンク:1周400m。どの選手でも勝つ可能性がある
- 500バンク:最後の直線が長い。後ろから追い上げて差し込む選手が有利
- 3・3バンク:「逃げ」「まくり」が決まりやすい
- 400バンク:どの決まり手も出やすい
- 500バンク:「差し」が決まりやすい
バンクの長さは、レース展開を予想する際に重要になってきます。
予想を的中させやすくするためには、それぞれのバンクの特徴を理解しておくことが大切です。
ぜひ、今回のバンクの特徴まとめや予想のコツを参考にレースを観戦して、車券を購入してみてくださいね。